narico555のブログ

乙女ゲームの感想や声優さん、アニメなどの話題が中心です。

ファタモルガーナの館 COLLECTED EDITION

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http://www.dramaticcreate.com/fatamorgana/index.html

 

あまりにも悲しく、あまりにも辛い物語でした。

記憶をなくした「あなた」と呼ばれる人物が、

館にいる一人の謎の女中から、その館で起きた過去の出来事を

幾つも見せられるのですが、どの出来事も悲劇で.....。

 

内容は、本編と、後から追加された、本編の内容の

発端となる過去のお話(Another Story)と、

現代のお話の3本仕立てとなっています。

 

まずは本編ですが。。


ミステリアスで、少々ホラーっぽい雰囲気の始まりから

色々と気持ち的に期待させるものがあったのですが、

始まってみると、ところどころのほほんとした部分もあり、

最初は良く分かりませんでした。

ゆったりとした話運びで、なんだかよく分からないまま、

登場人物たちの、ありがちな日常を見る中で、

そのうち、ちょっと退屈かも.....なんて思っていたら

突然、不幸が襲い掛かり、急転直下な展開に。。。


簡単に言えば、そういう展開の繰り返し、なのですが。

何度も何度も、つかの間の平穏な幸せから、恐ろしい程の

悲劇に見舞われて、救いのないような結末が、

しつこい程に繰り返され、段々とこちらも気鬱な影響を

受けるようになりました。

普段なら、途中で嫌になり、続ける事が苦痛に感じられそうなのに、

なぜか、暗澹たる気持ちになりながらも、やめられない。

放棄できない。最後まで、結末をしっかり見届けたい。

もう、その一心で、夢中になって読み続けました。

長かったです。とても。

これはもう、ゲームなんてものじゃないと思います。

まさにノベルですね。

選択肢は結構、あります。

と言っても、とても長いし、前半の3つの物語を読んでる過程では

全くと言って良いほど、選択肢は無いです。

それに、声がありません。

BGMと効果音と、セリフではない、笑い声とかくらい。

だからホント、読書してるような感じでした。

効果音付き絵本とか.....ww

でも、それだけに奥が深く感じられたように思います。

それを踏まえての演出が上手いです。計算され尽くしてるな、と。


もう、悲しいくらい、不幸の連鎖と言う感じで、

それぞれが、ちょっとした選択を誤っただけなのに、

それらが不幸への歯車にガッチリとはまってしまって、意図せずに

そちらへと回ってしまったような、そういう印象でした。

そして、誰もがあり得る事でもあるな、と。

ちょっとした誤解や、臆病や、保身や虚栄.....、そういった事の

積み重ねで、悪事に加担し、自身を誤魔化す為に正当化する。


とは言え、その内容は残酷で、どうしてそこまで出来るのだろう、と

これじゃぁ、恨まれても当然だろうと思う程の悲惨さだけれど、

彼ら彼女らの、それぞれの真実が明かされて、最終的に救済される様は、

もう、涙無くしては読めませんでした。

ボロボロと泣き通しでした。

哀れで、悲しくて、せつなくて..........。


特に、「あなた」の正体と女中の正体、この二人の過程は、

最高に泣けました。最後まで、せつなかったです。

とても、深い内容だったと思います。

色々と考えさせられるお話ですね。胸に深く突き刺さったまま、

感動が去りません。


ただ、すっごく長くて、最後まで行くのがちょっと辛かった。

だれる事はありませんでしたが、いい加減、終わって欲しいと

後半、思う事は多かったです。

重厚過ぎて.....。

割と何度も、どんでん返し的な感じでもあったので、

驚きも多く、かなり翻弄された感もありますね。

そして、悲惨で凄惨で悲劇度が高いお話ではあるものの、

ところどころ、ほっこりと笑いを誘うシーンも織り込まれていて、

だからこそ、その後に見舞われる悲劇が一層不幸度を増すのですが、

ほっこりシーンは見ているこちらも、幸せな気分にさせられました。

本当に深かったと思います。

 

ーAnother Story

★ヤコポとモルガーナのお話

 あまりにも哀れで、悲しかったです。

 二人の出会いから、モルガーナが死ぬまでの、

 ヤコポを中心にして進んだ内容だったけれど、

 すでに結果は本編で知っているだけに、そこへ辿り着くまでの

 更に掘り下げた内容が、とても深く胸に沁みました。

 表面だけ見ると、悪党な領主としか思えない人物だったけれど、

 本編の最後で、彼の視点から物語が語られて、彼の本意では

 無かった事は分かったけれど、まさか、こんな背景が隠されていたとは。

 彼の人物像が大きく覆され、激しく揺さぶられる事となりました。

 もう、ひたすらに同情だし、好きになってしまいました。

 その後の事を思うと、胸が痛くてたまりません。凄く泣けました(T^T)


★ジゼルが来る前の、ミシェルのエピソード。

 伝染病に掛かってる男が館の前で行倒れていて、

 興味が湧いて中へ引きいれた事から、奇妙な共同生活が始まり、

 ミシェルの心が徐々に人間らしい以前の感情を呼び覚まされ..........。

 ジゼルが来てからのミシェルと、少し被る感じがしましたが、

 なんとも物悲しいお話でした。


★ハッピーエンドのその後.....。

 本編の最後のアフターなお話で、現代で再会した

 ジゼルとミシェルの、極平凡な二人のデートの様子が

 とても良かった。

 そもそも、この二人、本編でもボケとツッコミな取り合わせって感じで、

 二人の言葉のやり取りが笑いを誘うのですが、ここでは更にパワーアップした感。

 つくづく、平穏で何気ない日常の平凡な幸せこそが

 最も尊いものなのだと感じられ、なぜかここでも胸がせつなくて

 泣けて来ちゃいました。二人の幸せな姿を見れるのが嬉しかった。


★本編、モルガーナとヤコポのアフター.....

 本編の最後で開放されたヤコポですが、モルガーナの態度としては

 ヤコポの想いは報われない感じで終わりました。

 可哀そうだな、と思った気持ちが、このアナザー編の冒頭のお話で

 ものすごくヤコポが哀れに感じて、ヤコポへの愛情まで感じるように

 なったので、ここへ来ての、彼とモルガーナのその後の二人の

 方向性のようなものが示されて、なんかホッとしました。

 ヤコポはやっぱり、彼女が大好きで、愛してて。。。

 それだけに、愛する女性へ与えた仕打ちは酷過ぎるし、

 彼自身も深い悔恨に見舞われているし、恨まれたのも当然と思いながらも、

 まだ、想う気持ちが去る事はなく.....。

 だかこそ、一層、せつなく哀れに感じて、ここでも涙してしまいました。

 だってヤコポ、本当はイイ奴だったのに.....ね。。。

 今度こそ、二人の魂が共に救われますようにと願わずにはいられませんでした。


―現代編

 まず、絵が変わってしまって、ちょっと残念です。

 最初、このゲームの絵に多少引きがあったのですが、始めてみると

 予想より美麗で、作品の雰囲気にもピッタリで、違和感が無くなりました。

 むしろ、中世って時代的にも合ってたかと。

 だから、現代編で、あの絵じゃない方が、現代的にした方が良いと

 思われたのかもしれませんが、もう少し原画に近づけて欲しかったですね。

 ちょっとアニメっぽい絵になっていて、顔とか、別人か?って思うほど

 違う気がします。

 でもって、声も付いてる為、違和感がすっごく感じられました。

 ほんと、別人のように感じてしまい.....。

 そう思うと、つくづく本編での声無しは、それで良かったんだな、と思いますね。

 自分の中のイメージとのズレが結構あって、ピンと来ませんでした。

 男性キャストは保志くん以外は大好きな声優さんなので、それはそれで

 嬉しかったのですが、矢張りどこかイメージが。

 中でも鈴さんの役は、一番しっくり来ませんでした。

 そんな、絵と声のギャップを感じながらも、このストーリーも結構長く、

 進めているうちに、現代の彼らの物語にどっぷりとハマりました。

 そして、後半は矢張り涙が滂沱。。。

 本当に、互いに相手を想っていたのに、間違った選択と弱い心で

 取り返しのつかない事態へと進み、長い間、それぞれが苦しんで、

 改めて業の深さが感じられました。

 そして、過去は過去として、現在を大切にして欲しいと切に思い、

 二人で今度こそ幸せな未来を築いて欲しいと思いながら、

 長い長い、悪夢と未来への希望の物語が終わりを告げて、胸が熱いです。

 

☆全てを終えて。

 おまけとして、18編のショートストーリがあり、語られ切れなかった

 細かい間を埋めるような、ちょっとしたお話でしたが、それらも全て

 読み終え、感無量な感じです。


 こんなに、胸に深く感動を呼ぶ内容だとは、始める前は思いませんでした。

 ホラーっぽい内容なのかなと感じられたのもあり、ホラーとかスプラッタ的なのは

 とっても苦手なのもあって敬遠していたのですが、お勧めに従って、

 思い立ったら吉日、みたいな、早急な購入&プレイだったのですが、

 そうして良かったと思います。勧めてくれて、感謝ですね。

 でなかったら、一生、やってなかったかも.....(;^_^A


 繰り返しになりますが、システムとしては、ゲームと言うより、もう殆どノベル。

 本編で後半から何度も選択肢は出てくるし、エンディングもデッドも含めて

 何種類も用意されてはいますが、悩むような選択肢ではなく、

 選べば当然だろうと思われるエンドへ進むようになっているし、

 ゲーム的には難しさなんて殆どなく、もう、読ませるのがメインですね。

 選択肢が少なくて読むばっかりだと、いつもなら当然が如く

 すさまじい睡魔に襲われて寝落ち.....なパターンなのですが、

 今回に限っては、そういうことは一切ありませんでしたね。

 もう、この世界の中にどっぷりとハマり、退屈する事なく、ただひたすらに

 先へ進みたくて、夢中になってました。

 でもって、割と影響されやすい私は、夢にまで出てくるっていう..........。

 そして、かなり残酷で凄惨な内容だったのに、おどろおどろしさは無く、

 気持ち悪さとかも感じられませんでしたね。

 感じるのは、哀切と悲哀と憤りと、少々の仄々感。。。

 人間の持つ、善悪の側面や、心の弱さと強さ、優しさと憎しみと残酷さと、

 あらゆる正負の感情が相まって、色々な刺激を与えられ、

 深い内容だったと思います。


 評価としては、4.5 かな。 評価の付けようもないかな、とも

 思うのですけどもね。 自分的には、素晴らしかったと思うので。

 普通の乙女ゲームとは一線を画すと思います。

 非常に長くて、何十時間もかかったので、大変ではありましたが

 その分、やりがいもありました。


 そんなこのゲーム、愛憎劇ですが、最終的には、それぞれが新しい人生を

 歩んでいけそうな終わり方だったので、本当に良かったです。


 それにしても、ヤコポには泣ける。。。

 ミシェルにも泣いたけど..........。

 

 

興味が少しでもある方には、お勧めします。

乙女ゲームではなく、飽くまでノベルです。

舞台は中世のヨーロッパ。なので宗教的な側面があります。

ひどい時代だと思うけど、それだけに人間の本質を

抉り出しているように思います。